退職後の健康保険、3つの選択肢とメリット・デメリット

退職後の手続きで忘れてはならないものが健康保険です。病気やけがをしたときに困らないためにも未加入期間を作らないことが必要です。今回は、退職後の健康保険の選択肢とそれぞれのメリットやデメリットをご紹介します。

1-2退職後の健康保険、3つの選択肢とメリット・デメリット

退職後の手続きで忘れてはならないもののひとつが健康保険です。万が一病気やけがをしたときに困らないためにも、未加入期間を作らないことが必要です。今回は、退職後の離職期間が発生する場合について、健康保険の選択肢とそれぞれのメリットやデメリットをご紹介します。

健康保険が切れた場合

会社を退職すると、退職日の翌日から健康保険の被保険者でなくなります。

そのため自分で健康保険の加入手続きをしないと、医療費の自己負担は3割から全額になり、高額医療費が支給されないなど病気などのリスクに備えることができなくなります。扶養家族がいる場合は、その家族も健康保険の資格がなくなるので注意が必要です。

退職後の健康保険の選択方法

退職後は健康保険制度への加入手続きを自分で行わなくてはなりません。

選択肢は、主に次の3つです。

  1. 任意継続被保険者になる
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 被扶養者になる

これらの保険内容に違いはありませんが、金額や納付の仕方については、住んでいる場所や前職での収入、扶養している人数などで違いが出てきます。

それぞれの特徴を踏まえて、自分に適した健康保険を選ぶ必要があります。それぞれのメリット・デメリットについてみていきましょう。

任意継続被保険者のメリットとデメリット

在職時に加入していた保険に引き続き2年間加入することができるのが「任意継続被保険者制度」です。

【加入条件】

  • 被保険者期間が資格喪失日(退職日)まで継続して2ヶ月以上あること
  • 20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること

※健康保険組合窓口で手続きをします。

【保険料】

在職期間中は、会社が保険料の半分を負担していましたが、任意継続被保険者は全額自己負担となります。これまでの倍近くの金額になりますので、退職前に加入していた保険組合に確認しておくとよいでしょう。

【扶養家族について】

被扶養者の範囲かつ収入要件を満たせば、扶養家族として保険証を追加することができます。

【資格喪失について】

加入期間中に、任意の申し出により途中でやめることはできませんが、次の事由に該当する場合は加入期間の途中で資格を喪失します。

  • 加入者の就職により健康保険などの被保険者資格を取得した場合
  • 加入者が後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得した場合
  • 加入者が亡くなった場合
  • 保険料を納付期限までに納付しなかった場合

≪メリット≫

  • 加入数で保険料が変わらない(被扶養者の保険料負担がない)
  • 医療検査の割引制度や保養施設の利用、傷病手当などの特別給付など、保険組合によっては利用できる福利厚生があるもある

≪デメリット≫

  • 被保険者期間に制限がある(最長2年間)
  • 被保険者期間の満了まで任意で辞めることができない

加入する保険組合の給付や、家族の状況を考慮して決めることをおすすめします。

国民健康保険のメリットとデメリット

日本の社会保障制度のひとつで、各市区町村が運営しており、加入や脱退などの手続きは住民登録のある市区町村役場で行います。

【加入条件】

  • 他の保険制度に加入していないこと
  • 退職した日から原則14日以内に、国民健康保険の加入手続きを行うこと

※加入手続きには退職した会社から発行される健康保険の資格喪失証明書が必要

日本の健康保険制度は「国民皆保険」が基本で、国内に住所がある方であれば、年齢や国籍(外国籍の方は在留期間が1年以上と決定された場合)に関係なく、必ず何かしらの健康保険に加入しなくてはなりません。

【保険料】

  • 居住地域の市区町村により異なる

※所得や保有財産、世帯所得、加入人数などで計算されるので、身分証明書や前年度の源泉徴収票などを持って、市区町村役場の窓口で問い合わせてください。

倒産や解雇などによって失業した場合の国民健康保険料については、失業の翌年度末までの間、軽減される軽減制度があります。

【扶養家族について】

国民健康保険料の納付単位は「個人」ではなく「世帯」です。仮に世帯主が国民健康保険に加入していなくても、同一世帯の誰かが加入していれば、その保険料の請求は世帯主にいきます。

つまり、国民健康保険では「扶養する者」「扶養される者」といった関係はなく、同一世帯内の誰かに加入義務が発生したら、その世帯主の加入保険に関わらず、その世帯主が加入手続きをし、その世帯主が保険料を支払うというシステムになっているのです。

そのためその世帯による保険料は、加入する人数によって大きく異なりますので、市区町村に問い合わせてください。

【資格喪失について】

  • 加入者の就職により健康保険などの被保険者資格を取得した場合
  • 加入者が後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得した場合
  • 加入者が亡くなった場合
  • 保険料を納付期限までに納付しなかった場合

≪メリット≫

  • 条件を満たす限り、継続して加入できる
  • 減免制度がある

※減免制度の適用条件は市区町村により異なります

≪デメリット≫

  • 保険料が全額自己負担となる
  • 他の健康保険に比べ付加給付(傷病手当や出産育児一時金など)の金額が低いことが多い

国民健康保険の保険料の計算は、市区町村により大きくことなります。まずは、市区町村の窓口で保険料を確認することをお勧めします。

家族の健康保険の被扶養者になる場合のメリットとデメリット

生計が同じである配偶者などが加入している健康保険の被扶養者になる方法です。通常、健康保険の被扶養者に該当するのは、配偶者、18歳未満の子、60歳以上の家族です。

【被扶養者の認定条件】

  • 健康保険法に定める被扶養者の範囲であること
  • 被保険者が扶養せざるを得ない理由があること
  • 被保険者が経済的に主として扶養している事実があること(=その家族の生活費を主として負担していること)
  • 被保険者には継続的に養う経済的扶養能力があること
  • 年収は被保険者の年収の1/2未満であること
  • 収入は年間130万円未満(60歳以上又は59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満)であること
  • 後期高齢者に該当していないこと
  • 「健康保険被扶養者(異動)届」を被保険者が事業主へ提出すること

【被扶養者の年収の算出方法】

給与収入:{(直近3ヵ月の総支給額の合計)×4)}+(賞与×支給されている回数)
※給与、賞与とも、税金等控除前の総収入額(通勤交通費も含む)

  • 雇用保険の失業等給付:給付日額×365日
  • その他継続性のある収入:税金控除前の総収入額

など

【保険料】

被扶養者の健康保険料はかかりません
※ただし39歳以下(又は65歳以上)の被保険者が40歳から64歳の家族を被扶養者にした場合は、認定月から該当被扶養者の介護保険料が徴収されます

【資格喪失について】

  • 本人の就職により健康保険などの被保険者資格を取得した場合
  • 本人が後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得した場合
  • 健康保険に加入している被保険者が亡くなった場合
  • 被扶養者の認定条件がなくなった場合

≪メリット≫

保険料の負担が増えない

≪デメリット≫

年収に制限がある
※退職前の収入が多い場合には、収入見込み額が確認できるように、雇用契約書等で年間収入が限度額未満であることの確認が必要です。

何らかの事情により再就職の予定が無い場合や、年収が低く扶養が必要な状況であれば、認定条件を満たしていることを確認し、扶養者となる家族の加入している健康保険組合へ被扶養者の申請手続きをしましょう。

退職日と保険の資格失効日は異なります。社会保険や国民健康保険は、月末時点でに加入している保険者が保険料を支払います。例えば31日まである月の場合、30日に退職すると、31日が資格失効日となり、その失効日の31日から自分で保険料を支払うことになります。

つまりこの場合、例え加入日が1日でも1ヶ月分の保険料を自分で支払う必要があります。そのため月末退社の場合は、月末を退職日、1日を資格失効日として保険の資格失効書に記載されているか確認することをおすすめします。

健康保険の加入は、国民皆保険制度により全ての国民が公的な医療保険制度に加入することが義務付けられています。退職前には加入する保険を比較検討し、未加入期間がないように手続きを早目に行うことが大切です